自民党の機関紙「自由民主」６月１日号に、私のエッセイ『心ひとつ』を掲載いただきました。

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地元で稲荷祭があった。久しぶりに会った地域の皆様と、小雨のなか並んで、ただ黙々と順番にお参りした。お互いほとんど言葉を交わさなかったのに、なぜか一体感があった。
都心の千代田区・港区・新宿区には約五十の神社がある。路地裏の小さなお社も含めれば数百はあるだろう。新型コロナ感染拡大の影響により、各地の神社のお祭りで神輿渡御や露店を取りやめる事態となり、お祭りが「中止になった」と言われるが、最も重要なのは神様への祭事である神事。緊急事態が宣言される中でも、神事は中止されることなく厳粛に執り行われている。
社務所を訪れると「心ひとつ」と書いたポスターが貼られていた。新型コロナ感染症の早期終熄への祈りと、感染症対策に従事する全ての方々への感謝の言葉。思えばこのお社も、長い歴史の中で数々の災厄に直面し、どれほど多くの人々の不安を救い癒してくれたことだろうか。
私たちの毎日も、いずれは歴史の一部。コロナ禍を乗り切ろう。今こそ、心ひとつに。