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2020.06.24
私が事務局長を務める自民党文部科学部会『医工連携教育推進ワーキングチーム』では、今年の2月から、松野博一座長、古川俊治副座長のもとで日本の大学における医学部と工学部の連携(医工連携)について議論を重ねてきました。
折しもコロナを機に、国産の医療機器開発の重要性が再認識されました。これからは医療も安全保障の時代、外国製の医療機器に依存することは非常時のリスクにつながります。日本の医療機器の輸出入は約1兆円の輸入超過となっており、日本の大学において医学と工学の両方に通じた人材の戦略的な育成が急務です。
ワーキングチームでは、①医工連携教育の老舗として長い歴史と伝統を持つ東北大学大学院医工学研究科、②細胞シート再生医療や世界最先端のハイテク手術室で知られる東京女子医科大学先端生命医科学研究所、③内視鏡分野で圧倒的な世界シェアを誇るオリンパス株式会社、④外資系ながら研究開発拠点として日本を重視する株式会社フィリップス・ジャパン等からヒアリングを重ね、以下の3つの方向性で提言を取りまとめました。
1点目は、大学における医工連携教育の推進です。医学部と工学部、さらには経営管理の分野融合教育を進める大学・大学院はまだ数多くはありません。企業や規制団体など実務家との交流や、知的財産や規制制度、ビジネスプランニングを含めた多様なカリキュラムの実践、働きながら学べるコースなど、医工連携のための学部・コースの新設を後押ししていくことが必要です。
2点目は大学や企業などが参画した地域のプラットフォームの推進です。大学だけでなく医療機関、医療機器関連企業、自治体、規制団体など、多くの関係者の連携なくしては新しい医療機器を生み出すことはできません。大学を中心に地域の拠点となるプラットフォームの整備が不可欠です。
3点目は医療機器産業の競争力強化です。素晴らしい技術やアイディアがあっても、規制審査や量産化、収益の確保、知的財産の保護など、社会実装に向けた課題は多岐にわたります。地域に根差したものづくり企業が持つ工業技術を、日本の医療機器の国際競争力に繋げるシステムづくりが急務です。
コロナの経験を通じて、日本はIT化をはじめ様々な点で諸外国に比べて遅れているのを実感しました。医療機器産業についても、日本が本来持っている潜在的な可能性が、これまで十分に発揮されてこなかったように感じます。今ならばまだ、日本は世界に追いつき追い越せると信じて、あらゆる施策を進めていきたいと思います。