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2020.06.19
上川陽子先生の下で、私が事務局長を務める『ジェネリック医薬品の将来を考える会』議員連盟で、「骨太の方針2020」に向けた提言をとりまとめ、麻生財務大臣に申入れを行いました。
この議連が設立された3年前、2017年の「骨太の方針」で、2020年9月までにジェネリック医薬品の数量シェア80%以上とする数値目標が掲げられ、着実に進展してきました。一方、この3年間でジェネリック医薬品を巡る環境は大きく変わってきました。
薬剤の原材料である原薬の輸入先は、中国やインドなど特定の国に依存しており、これまでも価格高騰が問題になっていました。さらに新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、依存先の国で物流が停止し、輸出規制となる可能性も出てきており、輸入先の多角化と国内製造の推進が喫緊の課題となっています。
現実に日本で重要な医薬品が不足し供給停止に陥った場合、患者さんや医療現場への影響を最小限にするための調整メカニズムが不可欠です。また世界的に見ても、原料調達から完成品の供給までのサプライチェーン全体を通じて、環境や雇用に配慮した持続可能な体制を作っていくためには、国際的な連携の下で日本が主導的に対応していく必要があると考えます。
国内ではジェネリック数量シェア80%の目標に近いところまで来ていますが、都道府県や疾患領域、世代によってばらつきがあり、今回の提言では来年度までにすべての都道府県で80%を超えることを目標として盛り込みました。これが実現すれば1,000億円を超える歳出削減になります。
他方、薬価改定で低価格品が不採算となり製造中止に追い込まれるものも少なくないため、高品質のジェネリック医薬品の安定供給に努力している企業の健全な発展のためにも、医療保険制度上の配慮が必要であると提言に明記しました。
麻生財務大臣からは、必要なジェネリック医薬品については国内製造を続けられるよう薬価において十分に配慮するとの力強いご回答をいただきました。
ジェネリックが推進されるようになったそもそもの背景は、増え続ける医療費の削減が主な目的でしたが、今では医療政策、財政政策にとどまらず、国家安全保障とも関わるテーマとなってきました。今後も引き続き、世界情勢を的確に捉えて迅速な対応ができるよう、議論を進めていきたいと思います。