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2019.11.17
東京駅から新幹線とバスで約4時間、岐阜県高山市にある中部電力飛騨変換所の建設工事現場を訪問しました。
日本国内は東西で電力の周波数が異なります。明治初期に発電機を輸入した時に、東日本は欧州の50Hzを、西日本は米国の60Hzを導入したのが発端ですが、周波数の統一は莫大な時間とコストがかかるため今も周波数が二分されています。
東日本大震災で東日本が深刻な電力不足に見舞われた際に、この周波数の違いが理由で西日本の電力を東日本に融通することができなかった反省から、電力の地域間連携線の強化に向けた取り組みが本格的に始りました。この飛騨変換所は、国家プロジェクトである重要送電設備指定の第一号案件であり、予定通り2021年に運用を開始すれば、90万kWの電力を東西で融通でき、広域的に電力需要を支えることが可能になります。
飛騨変換所は国有林を切り拓いた約250m四方の敷地の中にあります。冬場の積雪は2m、気温はマイナス30℃にもなるため、12月から3月は工事を中断しなければならず、人手不足の中、休日の今日も一部の作業が行われていました。
(写真左/上)飛騨変換所に電力を送り込む/送り出す送電線。よく見ると、鉄塔の上で人が作業しているのが見えます。
(写真右/下)電流を直流から交流へ、交流から直流へ変換する設備。稼働後は人間が手で触ることはもちろん、近づくこともできません。
(写真左/上)電力の流れを変えたり故障した箇所を切り離す装置。絶縁ガスの中に遮断器などのスイッチが内蔵されています。
(写真右/下)電力の波形を整える設備。高床式で三角帽子になっているのは雪対策です。
工事完成後、変換所が稼働を始めると、施設内に高圧電流が流れ非常に危険なため、この変換所は無人となり、本社のある名古屋から遠隔操作されるようになります。
近年の災害はますます大規模化し、被害も深刻化しています。自然の脅威と人間の叡智の戦いはこれからも続きます。普段の私達の生活からは想像も及ばない、人里離れた山奥の場所で、日夜、電力の安定供給のために働いてくださっている方々のご努力のおかげで私達の安心と安全が成り立っていることを、一人でも多くの方々にお伝えしたいと思います。