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2019.07.30
千代田区麹町にある地域密着型の高齢者施設「ジロール麹町」を訪問しました。認知症を患ったご高齢の方々が、心身の状況に応じて長期にわたって利用することができるように、デイサービスをはじめ特別養護老人ホームとグループホームと居宅介護など、様々な機能が一ヶ所に集まっています。
認知症高齢者の方々が共同で暮らすリビングダイニングルームには、昔懐かしい家具や調度品が並べられ、本当に家庭のような雰囲気です。食事は全て施設の職員の方々が各フロアの台所で手作りしており、美味しい匂いが漂っていました。中には職員さんと一緒に野菜を刻む元気なおばあちゃんも。
1階には地域の住民やお勤めの方々も気軽に入れるカフェが併設されており、全国各地から取り寄せた障害者施設で作られた無添加食品などが販売され、地域の方々が集まったり、よろず相談ができる場所になっています。
厚労行政に詳しい方から、今回訪問させていただいたジロール麹町は、様々な介護施設の中で「質を追求した成功例」だと伺いました。全国的にみると日本の介護現場は数多くの課題を抱えています。まず深刻な人手不足。介護に携わる方々の負担軽減、処遇改善が急務であり、外国人介護人材の受入れは大きな政治問題です。介護事業の採算性を維持することも容易ではありません。近年、人工知能による介護の可能性も注目されていますが、人間らしさや人の温かみと矛盾せずに両立できるかどうか、試行錯誤が続けられています。
政治の場では介護について議論する場面は山ほどありますが、私は、高齢人口推移や財政負担などのマクロの数字だけで議論したくない、と感じています。ご高齢者本人、ご家族、そして介護に携わる方々の思いを反映させた議論でなければなりません。要介護者の方々の生活の場に政治家がお邪魔させて頂くのは少し心苦しいのですが、関係者の方々の思いを直に受け取る貴重な機会です。
長生きが当たり前になりつつある時代、何歳になっても人間としての尊厳を持って、「長生きしてよかった」と思えるかどうか。この問題を克服してこそ、未来の日本は今よりも良くなる、と自信を持って言える時が来るのだと思います。