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2018.05.22
働き方改革法案の審議もいよいよ大詰めとなった今日、衆議院厚生労働委員会の参考人質疑で質問に立ちました。
私は議員になる前、伝統的な日本の大組織と、アメリカの経営コンサルティング会社、フランスの事業会社の日本支社、3つの職場で、それぞれ、①年功序列型賃金で残業手当が支払われる働き方と、②今回の高度プロフェッショナル制度に近い働き方、そして③管理職として労働時間規制が適用されない管理監督者の立場を経験しました。今回の法案審議の中で、高プロないし裁量労働制は長時間労働が増えて過労死につながる、という議論がありますが、私自身の実体験からすると、高プロみたいな職場も、残業手当が支払われる職場も、どちらもやっぱり長時間、仕事はきつかった、というのが実感です。残業手当の職場でも、極限まで働いて身体を壊してしまう方はいらっしゃいました。残業手当が満額ついていた訳ではないという話もよく耳にします。
日本人の残業体質は、世界的に見ても異常だと言われます。日本のサラリーマンの多くが、残業するのは当たり前、先輩より先には帰れない、という経験をお持ちだと思います。個々人のモラルにもよりますが、残業手当で稼ぐという人も全くいないとは言えません。そうした意味でも、今回の法改正で厳しい残業規制を設ける意義は非常に大きいと思います。
他方、高プロに該当するような専門性の高い職業は、仕事の性質上、たとえ長時間働こうが成果が出なければクライアントから評価されない、次の仕事をもらえない、厳しい世界です。コンサルティング会社では、日中は騒がしいから朝の6時に出勤し、夜はなるべく自宅で働くスタイルの人も多かったです。時間で管理されて、定時出社、定時退社、付き合い残業を求められたら、逆にしんどい。自分のペースで仕事に集中させてほしい、と考えるのは、プロフェッショナルにとっては合理的な発想です。
今回の法改正は、こうした高プロの本来の趣旨・目的をきちんと実現できるような内容となっているか、制度の悪用を防ぐためにどのような対応策が必要か、日本総研の山田久理事にお伺いしました。
また、産業界の代表としてお越しになった経団連の輪島忍労働法制本部長には、罰則付き時間外労働上限規制や、同一労働同一賃金などの新しい制度を、企業の現場で正しく運用していくために、社会保険労務士の方々の支援が不可欠であること、時間で管理されない柔軟な働き方を進めていくには、これまでの年功序列型の人事・給与システムを改め、能力や成果に応じた人事・給与制度へと変えていくことが不可欠であるとの視点から、企業の先進的な取組事例についてお話をいただきました。
もしも、時間に捉われない柔軟な働き方が可能になったら、、、例えば、会社に勤めるお母さんが、お子さんのお迎えの時間まで、あと1時間がどうしてもやりくりできない、頼める人がいない、そのために正社員を諦めざるを得ない、といったことがなくなります。女性も男性も、高齢者も若者も、障害や難病のある方も、すべての人が活躍できる道を拓く第一歩として、与野党の対立を越えて、この法案の成立を心から願っています。
質疑の詳細は、後日、議事録を掲載いたします。