Blog
2018.04.04
生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案の法案審議で、質疑の機会をいただきました。衆議院厚生労働委員会で質問に立つのは今回が2度目です。昨年末の旅館業法の改正では都心における民泊の現状をお伝えしました。今回は特に新宿区の例を中心に、都市部における生活保護の実態を踏まえて、自治体が抱える課題の解決と子どもの貧困への対応策について、厚生労働省の高木美智代副大臣と定塚由美子社会・援護局長にお伺いしました。
<路上生活者対策について>
新宿駅西口地下広場で『ダンボールハウス火災事故』が起こってから20年が経ちます。新宿区では他の自治体に先駆けて路上生活者対策に取り組んだ結果、区内のホームレスの数は平成16年の1,102人をピークに平成27年には99人まで減少しましたが、現在でも年間700人ほどを路上生活から脱却させているそうです。2020年の東京五輪が終わり労働需要が止まった後に、再び路上生活者が増加する恐れもあります。路上生活者の殆どは区外からの流入であり、区の予算を使うことに区民の理解を得るのにも限界があるため、今後、状況の変化に応じて国と都道府県と市区町村の間で常に見直し改善の話し合いの機会を持っていただくよう要望しました。
<高齢者の孤独死対策>
高齢受給者の問題で、中でも特に対応に苦慮するのが、孤独死への対応です。単身の生活保護受給者が死亡した際、家主さんから自治体に対して、残された家財などの処分費用の支払いを求められることが多々あります。こうした費用については支給の対象とならないため、敷金等での対応をお願いすることになりますが、敷金等では賄いきれず、差分の支払いを巡ってトラブルになるケースが頻繁に発生しています。区役所では、次善の策として、家主さんに、賃借人の孤独死に伴う費用を補償する特約付きの火災保険への加入を勧めているとのことですが、貸主が安心して高齢受給者に住居を貸せるよう、公的な対応の必要性を訴えました。
<居住の確保の支援>
平成27年7月に実施された住居扶助費の見直しにより、新宿区においても複数世帯の支給額の改定が行われました。特に2人世帯については、69,800円から64,000円に見直され、5,800円の引き下げとなったところです。都内都心部では基準内で最低居住面積水準を満たす住宅の流通量は十分ではなく、特に受験生を持つ母子世帯等においては、物件探しに大変苦慮していると伺っております。将来の基準設定にあたっては、今後のオリンピック需要の動向や都心部の家賃需要など、動向をみつつ細やかな対応をお願いしました。
<子どもの貧困対策>
昨年12月に、新宿区四谷にある高校生世代のための学習支援施設『リファインド』を訪問しました。貧困の連鎖を断ち切っていくためには、このように生活困窮世帯の子どもへの学習支援が居場所づくりも含めて行われている、民間の創意工夫のある取組を支援していくことが必要だと考えます。近年は、学習支援にとどまらず、生活習慣や環境の改善、さらには「高校生世代」に対して高校編入試験や大卒認定試験に向けた進路選択も含めた支援が重要になってきています。今回の法改正で、幅をもった取組がやりやすくなるよう求めました。
↓「リファインド」訪問の際のブログはこちら
http://miki-yamada.com/blog/6283.html
詳しい議事録は、後日掲載します。