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2015.12.20
ケニアのナイロビで開催されたWTO閣僚会議に出席しました。
WTO(世界貿易機関)に加盟する162ヶ国の貿易担当の閣僚が、2年に一度、一同に会する大規模な会議です。東京からナイロビまでは、飛行機を乗り継いで片道約20時間。現地は治安も悪く、会議場周辺は銃を持った警官が警備しており、5日間の滞在中、防弾車でホテルと会議場との間を往復して過ごしました。
日本がWTOの前身であるGATTに加盟し、自由貿易体制の仲間入りを果たしたのは60年前のことです。海外からの農産物の輸入は日本の農家にとってたいへん苦しい反面、日本の工業製品を輸出しやすくなったことは日本経済の飛躍的な成長へとつながり、また、欧米諸国との間に数々の貿易摩擦を生みました。
今や国連並みの参加国数となったWTOにとって最大の問題は、貿易自由化の原則への例外(ハンディキャップ)を求める開発途上国の数が非常に多くなり、途上国と先進国との間で意見が対立し、加盟国全体で物事を決めることが難しくなったということです。2001年に始まったWTOドーハ・ラウンド交渉は、現在に至るまで14年間も続いてきました。日本は近年、WTOでのグローバルな議論と同時並行で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やEUとの経済連携協定など地域での取り組みを進めています。
今回の閣僚会議では、新たにリベリアとアフガニスタンのWTO加盟が承認され、私も日本政府を代表してお祝いの言葉を述べました。
また、林幹雄経済産業大臣の議長のもとに、日本をはじめ米国、EU、中国、韓国など54の国と地域で、デジタル製品の関税撤廃で合意に至りました。(写真右は、米国USTRのフロマン通商代表と)
閣僚会議は、途上国と先進国の双方の主張を取り入れた形で取りまとめられ、19日に閉幕しました。写真は現地の日本政府ロジ室です。徹夜続きで会合に臨まれた関係者の皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。