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2015.11.23
日本とマルタの国交50周年の記念式典に出席するため、マルタ共和国を訪れました。外務省の政務がマルタを訪問するのは初めてと伺い、思いがけない巡り合わせをたいへん有難く思っています。現地の新聞マルタ・タイムスでも今回の訪問を大きく扱ってくださいました。
マルタというと、近現代史では、父ブッシュ大統領とゴルバチョフ大統領の首脳会談によって東西冷戦が終結したマルタ会談が有名です。古くは十字軍がヨーロッパを守った城塞都市ですが、かつてイギリス領に属していたため英語が公用語であり、近年は日本からも留学生が訪れています。最近は日本テレビの番組『アナザースカイ』で、かつて留学していた柴崎コウさんが再びマルタの地を訪れたそうです。
私自身もこれまで知らなかったのですが、日本とマルタには意外なご縁があります。
マグロの産地で日本も養殖マグロの輸入の2割をマルタに頼っていること。トヨタが1960年にヨーロッパで初めて自動車を販売したのがマルタであること。そして、第一次大戦中、イギリスと同盟国にあった日本が日本海軍艦隊を地中海に派遣し、その戦没者の方々の墓地がマルタにあるのです。1921年に、当時皇太子でおられた昭和天皇もマルタの地を訪れています。
1996年以来長きにわたって在マルタ日本名誉総領事をお務めくださっているミフスッド氏が、素敵な花束をもってお迎えくださいました。
日本マルタ国交50周年を祝う記念式典とコンサート。尺八と太鼓の素晴らしい演奏を聴かせていただきました。
ジョージ・ヴェッラ外務大臣との会談を行った部屋の隣にある外務大臣執務室は、かつてナポレオンがエジプト遠征に赴く際に執務室として使った部屋だそうです。ヴェッラ外相は20年ほど前にも外務大臣を務めておられた大ベテランで、お話の中身にもたいへん含蓄があり充実した会談でした。
マルタ商工会によるビジネスカンファレンスでは、EUからマルタの中小企業の日本進出に対する支援や、日・EUの自由貿易協定がマルタに及ぼす影響などについて講演がありました。続いてマルタのビジネス関係者との昼食会。会場となったCasino Malteseには、戦前に昭和天皇が訪れた記念碑もありました。
旧日本海軍戦没者の慰霊碑を参拝しました。今から100年近く前に、日本のために戦ってくださった71名の方々の墓碑を前にして、熱い思いがこみ上げてきました。ミフスッド名誉総領事が用意してくださった赤いカーネーションと白い菊でつくった日の丸の花輪を献花し、お祈りを捧げました。