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2025.06.10

新宿区医師会淀橋支部で講演『2050年の日本 〜未来は努力で変えられる〜』

新宿区医師会淀橋支部の会合で講演の機会をいただきました。「日本の将来について、明るい話をしてほしい」というリクエストでしたが、今の日本の単純な延長では明るい話にならないため、『2050年の日本 〜未来は努力で変えられる〜』と題してお話をさせていただきました。

 

 

未来の予測については海外も含めて数々の文献がありますが、日本に関してはほぼ共通して、人口減少・財政難・安全保障の3つが国家的課題だとされています。

今は世界中がトランプ関税への対応に追われていますが、数十年という単位では一時的な出来事に過ぎず、より本質的に世界を変えていく①のは5つの要素だと言われています。

 

①人口動態

日本の人口は2050年には1億人強、世界17位の国になると言われており、既に今も労働力不足を補うために、定年延長、女性活躍が進められ、解雇規制緩和も議論になっています。また、日本が目指す経済成長を達成するには、2040年には688万人の外国人労働者が必要だとも言われており、外国人との共生を巡る課題はこれからますます深刻化していきます。

 

②資源と環境

温暖化対策(GX)、生物多様性、循環経済ともに、国内法や国際条約で2030年、2050年の政策目標が定められている分野です。環境問題への取り組みを経済成長につなげるのが日本の課題です。

 

③貿易と金融

過去の日米通商交渉と今回が大きく異なるところは、貿易だけでなく金融・為替が大きく関係している点です。トランプ大統領は高関税で国内製造業を輸入品から守りたい一方で、世界の基軸通貨であるドルの地位を守ろうとしていますが、この2つは二律背反であり両方達成することはできません。むしろ今回のトランプ関税で中長期的にはドルの信任が下がるのではないか、というのが識者の見解です。

 

④テクノロジーの進化

2050年までに著しく発展する分野として、AI、ロボティクス、バイオテック、宇宙、コンピューター、環境・エネルギーなどが挙げられます。重要なのは、こうした研究開発において、日本は「一番でなければダメなんです」ということです。他国の技術を持ってきたのでは多額のライセンス料を取られます。これまで日本が世界に遅れをとってきた背景には、省庁の縦割り、産学官の連携不足、圧倒的な資金不足、非英語圏、規制の硬直化などがあり、これまでの延長線上ではない大胆な改革が必要です。

 

⑤政府と統治

国際政治では、西側諸国を中心とした民主主義・自由主義経済の価値観と、BRICS諸国との対立軸がある一方で、グローバルサウス諸国が力を強めています。

国内政治における民主主義は、SNSの影響に注意深く対応していく必要があります。投票のデジタル化が進むと理論的には代表民主制を取らなくても各政策の是非を投票で決定することも可能ですが、直接民主制では海外勢力からの情報戦の影響を受けやすくなる懸念があります。

 

 

5つの要素とは別に、日本固有の制約条件として、独自の戦力を持たないことと、財政が厳しくなる中で過去に高水準の福祉を経験した国民の期待値を下げられないことがあります。特に医療費に関しては、国民一人ひとりの保険料負担を低く抑えるべきとの要請がある一方で、医療提供体制を支える医療関係者の方々のご負担は限界を超えつつあります。マクロ財政の議論だけではなく、患者や家族の立場に立った議論も不可欠です。

医療の最前線でご尽力くださっている先生方との意見交換の場を、今後も大切にしていきたいと思います。

 

 

今回の講演の準備では、私自身はじめてchatGPTを部分的に活用し、プレゼンテーションの流れの中で違和感がないか検証してみました。2050年には私は75歳。時代の流れに取り残されないよう、私自身も仕事のしかたやライフスタイルをアップデートしていきたいと思います。