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2025.02.19

『創薬イノベーション再興の会』設立

前回の衆院選では与党が大敗し、厚生労働分野で経験を蓄積してきた多くの中堅議員が涙をのむ結果となりました。捲土重来を目指す前・元衆議院議員7人が集まって新時代戦略研究所(INES)のもとで『創薬イノベーション再興の会』を立ち上げ勉強会を開催し、併せて記者会見を行いました。今後、定期的に議論を重ね、6月の骨太の方針を前に提言をまとめて公表する予定です。

 

 

高齢化や医療・医薬品の高度化に伴い増え続ける医療費を抑制するために、毎年切り下げられる薬価。日本で新薬を開発し上市しても海外に比べて薬価が低く投資回収ができない、そのため日本で新薬が生まれない、海外から日本に新薬が入ってこない、いわゆる「ドラッグロス」「ドラッグラグ」が深刻化しています。こうした問題に、①研究開発支援、②薬価制度改革、③マクロ財政の視点から取り組んでいきます。

 

①創薬エコシステム

政府は今国会での法改正で、創薬を支援するための基金を創設しますが、その原資は国費では足りず製薬企業などによる寄付金を募る予定です。「創薬エコシステム」をつくる、と言いますが、たとえ任意であれ製薬企業が自ら拠出しているようでは経済原則が働いているとは言えません。負のサイクルを断ち切るために、まずは薬価制度の改革が不可欠です。

 

②イノベーションを評価できる薬価制度を

これまでの累次にわたる薬価改定は、必ずしも新薬開発を後押しするものとは言えませんでした。2010年に新薬創出等加算が導入されたものの、その後は特例拡大再算定や費用対効果評価の導入、中間年改定など、研究開発促進と矛盾するような薬価削減の仕組みの導入が相次ぎました。

個人的な考えですが、削減ありきの薬価改定を防ぐために、薬価の基本原則について合意形成を図るべきではないかと思っています。例えば税制の大原則には応能課税、応益課税がありますが、薬価であれば、①努力が報われる仕組み(イノベーション、安定供給)、②予見可能性、が2大原則ではないでしょうか。これらの原則に沿わない改定方式は認めない、といった合意づくりが必要だと考えます。

 

③財政とのバランス、国民皆保険の維持

国民皆保険を維持していくうえで、増大する医療費と財政とのバランスは最大の課題です。特に最近ではインフレを加味した診療報酬や薬価の引上げの必要性が大きく取り上げられています。かねてより、有識者の間からは名目GDP成長率によるインフレ調整メカニズムが提言されていました。まさに現在の経済状況に適したアイディアですが、実行可能なものにするためには、さらに制度の細部を詰めていく必要があると思っています。例えば、

(1) 日本の薬価市場は11兆円ですが国内生産は6兆円程度。地方の工場の後継者不足、人手不足を考えるとGDP全体と同様には伸びていかないのではないか?

(2) 基礎的医薬品や安定確保医薬品を支えるコストも軽視できないのではないか?(地方の中小零細メーカーの撤退による供給量の減少、今後悪化が予想される安全保障環境、など)

(3) 長期収載品とジェネリックの縮小だけでは革新的医薬品の増額分を捻出できないのではないか? 等々

 

 

今後、有識者や企業の方々と議論を重ね、「絵に描いた餅」に終わらない具体的な提案をつくっていきたいと思います。

 

 

私自身、現職から離れた今の立場で医療政策の議論に関わることには大きな意義を感じています。現職の立場では、目の前の法案の審議に追われ長期的な視野での制度改革を議論する機会も時間もない、というのが現状です。「有権者の意見を国政に届ける」といっても、実際に与党内で物事が決まる政調・税調、各部会の議論の中での発言は一人3分程度。国会質疑では与党議員が政府与党の方針に対して批判的な質問をするとマイナス評価になる?とも言われていました。今はしがらみのない立場から関係者の方々と中長期的な視点から議論を重ね、いずれ将来に活かしていきたいと思っています。