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2024.05.16
自民党の雇用問題調査会のもとにあるカスタマーハラスメント対策プロジェクトチーム(田畑裕明座長)で提言をとりまとめ、岸田総理に申入れを行いました。
カスタマーハラスメントとは顧客等からの著しい迷惑行為のことで、近年、社会的な関心が集まっています。パワハラやセクハラが社内の問題であるのに対し、カスハラは社外の、しかも顧客が相手であるため、判断や対応が難しいという悩みがあります。悪質な暴力行為には毅然として対応し、労働者などが安心して働くことができる環境を整備するために、労使の関係者や消費者団体へのヒアリングを重ね、以下の視点から提言をまとめました。
①カスタマーハラスメントの定義の明確化
消費者からの正当なクレームと、カスハラとの区別は、業種や職種、サービス内容などによって異なり、カスハラの定義づけが難しいのですが、被害者である労働者の視点で代表的な事例を分析・整理して、企業や業界団体において対策や研修を進める必要があります。
②労働者保護の強化
カスハラ被害者の方々の中には、心身を病み仕事を続けられなくなり、労災が認められた事例もあります。事業者に対して雇用管理が上の必要な措置をとることを義務付ける法整備なども検討を進めるべきです。
③企業の対応への支援強化
厚生労働省がカスハラ対策の企業マニュアルを作成しているのをはじめ、企業や業界団体でもマニュアルや警察との連携体制が整備され、従業員への研修も強化されています。業界団体などを通じた取組に対して、政府の支援強化が必要です。
④消費者の理解の促進
消費者が企業に対してクレームを申し入れること自体は正当な権利行使ですが、結果的に行き過ぎた不適当な言動となって社会的な避難を受ける事例も見受けられます。責任ある消費者としての行動について、消費者が学ぶことができる機会を増やす必要があります。
今回の提言とりまとめと総理申入れには、政府がカスハラ対策に取り組む意思を示していくことはもちろん、広く一般の方々にカスハラを社会問題として認識していただく、という目的もあります。販売やサービス提供の現場、接客の最前線で活躍している方々のご負担の軽減につながるよう、現場視点での議論を続けていきたいと思います。