Blog
2024.05.13
先般、衆議院法務委員会で入管法改正について質問に立ちましたが、今日は宮城県における外国人労働者受け入れの現場にお伺いし、仙台市で開催された地方公聴会に出席しました。
日ごろ千代田区や新宿区では、街中で実に多様な外国人住民をお見かけしますが、技能実習生や特定技能労働者として来日している外国人の方々の職場にお邪魔する機会は殆どないため、今回の地方公聴会は希望して参加の機会をいただきました。
最初に訪れたのは石巻市にある株式会社渡冷という水産加工会社。東日本大震災を乗り越えて2012年に事業を再開させ、インドネシアとミャンマーから14人の技能実習生、特定技能労働者を受けて入れています。
実際に2名の実習生の方から、日本語で直接お話を伺うことができました。母国を出発する前に3〜5ヶ月日本語学校に通い、現在もネットやYouTubeで勉強を続けていること、実習受入国として仲間の間では韓国が人気があること、生活する上で困った時には職場の「ママさん」に相談すること、母国に帰った後は農業や自営業をやりたい、等々。雇用者側からは、現行の技能実習制度の最大の問題である送り出し国のブローカー等による過大な借金の問題については、現地の送り出し機関に自ら赴いて不正がないか確認しているとのことでした。
渡冷さんをはじめ受入企業の方々が最も心配しているのは、新たな育成就労制度では本人意向による転籍が認められることで、自社で育成就労をしても、1〜2年で賃金水準の高い首都圏に流出してしまうのではないか、という懸念です。『外国人就労者が魅力を感じられるような、地域づくりへの積極的な取組と、継続的な予算措置を』との強い要望をいただきました。
仙台市内で開催された地方公聴会では、受入企業(農協)、監理団体(協同組合)、社会保険労務士、大学教授の4人の方々からの意見陳述をお伺いしたうえで質疑となりました。大変有意義な議論でしたので、下記にポイントのみ記します。
①本人意向の転籍について
・関係構築に1年はあまりにも短いが、一方で働く人の権利もありジレンマである。
・賃金格差は否めない。丁寧に接して、お金だけではない価値観を伝えたい。
・失踪することの問題の大きさを実習生は理解していない。きちんと説明を。
②実習生の処遇の改善
・送出機関の手数料を最低限とし、雇用コストを抑えて最低賃金以上の給与を。
・年金の脱退一時金の制度は、実態に即して改善すべき。
・外国人労働者の賃金が低いのは、下請構造も一因。
③実習生のスキルアップと日本語能力
・7割を超える受入企業が「日本語での意思の疎通」を問題視。
・分野ごとにキャリアパスを具体化していく作業が必要。
④監理支援機関の規制強化
・現在、受入企業は実習生1人あたり送出機関に月5千円、監理団体に月2万5千円支払っている。
・業種によって「背中を見て学べ」という風潮を改め、教え方を改善すべき。
・労働法制について体系的に学ぶよう、外部監査人の研修も必要。
⑤地域共生の取組で重要なこと
・地域自治体が実習生の実数、雇用先を把握できていないことが問題。
⑥家族帯同のあり方
・家族と会えない期間が8年は長すぎる、3年程度が良いのでは。
・2年で帯同は現実的でない。転職は?子どもの学校は?8年でも難しい。
・外国人に日本をどういう形で支えてもらうか本質的な問題。外国人基本法が必要。