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2023.10.04

自立支援センター「ふるさとの会」を訪問

台東区千束にある自立支援センター「ふるさとの会」を訪問しました。台東区は千代田区の隣、下町情緒あふれる地域です。清川・日本堤・東浅草の一帯はかつては労働者が集まる「ドヤ街」といわれ簡易宿泊所が多く、最近は外国人のバックパッカーを対象とした安価なホテルも増え、賑やかな場所となっています。近くには歴史ドラマなどで有名な吉原もあります。

 

 

山谷の地域で自立支援の取組が進んだのは、こうした地理的・歴史的な背景があるようです。かつては日雇い労働者の多くは高齢になっても年金がなく、生活保護だけでは高齢者施設や介護施設にも入居できないという深刻な状況がありました。路上生活を余儀なくされている方々を救うために、地域のボランティアの方々がまず始めたのが、住まいと食べ物の確保です。空き家を借り上げ、給食を提供するしくみをつくり、病気の人はお医者さんに診てもらう、そして、生活の体制が整ったらアパートに入居して自立していく、という流れが徐々にできあがっていったそうです。

 

代表理事の瀧脇憲さんに連れられ、街なかに散在する居住施設や障害者向けグループホームを拝見しました。人間は衣食住が足りるだけでは生きていけない、人と触れ合う温かい居場所が必要だという考えから、街なかに設けられた共同リビングもありました。

 

 

女性ばかりが集まる居住施設にもお邪魔しました。築70年の木造の家の内部は住みやすいように工夫が凝らされ、大きな木のテーブルを囲んで入居者の方々と語らいました。集団生活にトラブルは付き物ですが、施設のスタッフの方々が当事者と根気よく対話して解きほぐしていくそうです。関係者の方々の粘り強い取組に、深い敬意を感じました。

 

こうしたサポートを利用されている方々には、身寄りのないご高齢者や障碍者、保護施設や刑事施設からの帰住先がない方々、住所不定だったり、近隣とのトラブルで退去を余儀なくされた方、独居が困難な方、DVや虐待などから緊急避難して来られた方など、実に多様な方々がいらっしゃるとのこと。台東区で始まった取組は今では他の自治体にも広がり、新宿区内にも大久保や下落合に施設があるそうです。

行政が進める「地域包括ケアシステム」だけでは解決できない部分があります。NPOやボランティアの方々をはじめとする地域の底力を実感した、貴重な訪問でした。