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2023.08.22
ファッション産業の脱炭素と廃棄物ゼロを目指すアパレル関連企業が集まる、『ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)』の皆様から、サステナブルファッションの法整備に向けた意見書をいただきました。
ファッション産業は世界の温室効果ガス排出量の4~8.6%を占め、工業用水の汚染の2割は繊維の染色と仕上げ加工によるものだと言われています。世界で年間に生産される衣類の数は2014 年には1000億着を超えましたが、衣類のリユース・リサイクルは日本でも全体の3分の1程度にとどまり、残りはそのまま焼却・埋立てされてしまうとのこと。南米やアジア・アフリカ諸国では全世界からの衣類の不法投棄も問題になっています。
諸外国ではアパレル産業に対する法規制が始まっています。EUでは域内で販売される繊維製品について、リサイクルしやすさ等を要件とした拡大生産者責任が進められており、フランスでは2020年2月に売れ残り商品の廃棄禁止を規定した『循環経済法』が施行されました。直近では、米国ニューヨーク州でサプライチェーンの透明化とデューデリジェンスを義務付ける『Fashion Sustainability and Social Accountability Act (ファッションの持続可能性と社会的説明責任に関する法律)』の議論が進んでおり、この条例が成立するとグローバルで年間1億ドル以上の売上があるアパレル関連企業がニューヨークでビジネスを展開する場合はすべて規制の対象となります。
JSFAさんのメンバー企業の方々は、この問題についてこれまでも議論を重ねてこられたとのこと。将来的にはこうした欧米の基準をクリアできなければ、日本のアパレル企業はグローバルなビジネスから締め出される可能性があります。他方で、もし仮に日本で同様の規制を導入するとなると、特に中小のアパレル企業には過重な負担がかかることになります。今すぐ誰もが合意できる解決策はありませんが、諸外国の状況に遅れをとることがないよう、これからも継続的に議論を重ねていきたいと考えています。