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2023.06.14

ナティクシスESGフォーラムで講演

フランスの投資銀行の日本支社、ナティクシス(Natixis Corporate & Investment Banking)が開催するESGフォーラムに出席し、環境省の立場から『持続可能な社会の実現に向けたグリーンファイナンスの役割』と題して講演をさせていただきました。

 

 

まずはG7広島サミットの成果として、環境問題全般に関しては、「①脱炭素、②生物多様性の保全、③資源循環を一体的に捉え、統合的に対処していくこと」について合意が得られました。また、サステナブルファイナンスについては、脱炭素の実現に向けた長期的な戦略として、トランジション・ファイナンスの重要性が認識されたこと、その際には(1)1.5度目標と整合的であること、(2)いわゆるロックイン(化石燃料の使用の継続)を回避すること、(3)実質的な削減につながること、という3つの条件が示されたことを紹介しました。

 

脱炭素・生物多様性保全・資源循環を進めていくためには、グリーンファイナンスが重要です。脱炭素については10年間で150兆円が必要といわれ、国内においてグリーンファイナンスの機能強化が不可欠です。環境省では、①市場形成の促進(グリーンボンドなどのガイドライン策定、発行支援)、②金融機関自身や投融資先も含めた開示の推進、③地域金融機関の取組の推進、④金融市場関係者のネットワーク構築のためのESG金融ハイレベル・パネルの開催、などに取り組んできました。

日本におけるグリーンボンド発行額は2兆円を突破し順調に伸びていますが、資金使途は再生可能エネルギーが多く、生物多様性や資源循環など他分野への展開が期待されます。

 

グリーンファイナンスの更なる拡大を目指すには、発行しやすい環境の整備と共に、買い手や貸し手が安心して市場に参加できるよう『グリーンの質の担保』が重要です。環境省では有識者との検討会を経てサステナビリティ・リンク・ボンドのガイドラインを新規に策定し、この夏にはグリーンプロジェクトの例示リストを拡充するためにワーキング・グループを設置する予定です。市場関係者の方々との密な意見交換が不可欠です。

 

 

講演の後には、資本市場におけるESGの動向や、トランジション・ファイナンスの動向などについてパネルディスカッションが行われました。発行体、事業者、投資家、行政をはじめとするステークホルダーの間で議論を積み重ね、事例を積み上げ情報共有を進めていくことによって、グリーンの質の信頼性を高め、日本市場の魅力向上につながればと願っています。