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2023.06.07
議員連盟「ジェネリック医薬品の将来を考える会」は、2017年の発足以来、今年で6年目を迎えます。上川陽子会長のもとで私は事務局長を務めていますが、今年も業界や関係省庁の方々と共に議論を重ね、ジェネリック産業の再生と医薬品安定供給の実現に向けた提言を取りまとめました。
近年、相次ぎ発生したジェネリック医薬品メーカーによる不祥事や供給不安の背景には、以下の要因があります。
①政府による使用促進策が進められる中で、個々の企業の供給能力を考慮することなく、共同開発のような参入障壁を下げる仕組みも導入され、少量多品種のビジネスモデルに数多くの企業が参入し過当競争を招いたうえに、国と都道府県の薬事監視体制が不十分だったこと。
②薬価の毎年改定が製薬メーカーの経営体力を奪い、特にジェネリック医薬品は総価取引の調整弁となってきたこと。現状ではジェネリック医薬品の約3割が赤字不採算品目となっていること。
③コロナ禍による需要増加やウクライナ危機による価格高騰など、原材料を海外の特定国に依存していることがリスク要因となっていること。医薬品の供給状況や在庫状況が把握できていないこと。
こうした課題を克服するための方策として、提言では以下の4つの取組を政府に求めました。
①政府はジェネリック医薬品産業のあるべき姿を示し、持続可能な産業構造の再構築に向けて責任を持って対応すること。共同開発について本来のあり方が徹底されるよう薬事承認審査・許可調査を強化し、今後の企業の市場参入のあり方を検討すること。
②薬価改定の対象を「価格乖離の大きな品目」とする本来の趣旨に立ち返り、中間年改定のあり方を検討すること。薬価の下支えをする現行制度のあり方を再検討すると共に、現行の市場実勢価格加重平均値調整幅方式の問題点について実態を把握し、是正に向けて取り組むこと。
③安定供給を図る観点から、バックアップ生産体制の構築など企業の製造能力向上のための設備投資を支援すること。国産原薬への転換や複数ソース化、備蓄の増大・分散などを政府と企業が連携して進めること。
④医薬品の流通・供給状況の見える化を図るシステムの構築に向けて検討を進め、医薬品流通に関わる全ての関係者に全面的な協力を求めること。国と都道府県の連携を強化し薬事監視の質的な向上を図ること。
加藤勝信厚生労働大臣への申入れでは、加藤大臣からはジェネリック医薬品の品目数が非常に多いことが問題意識として挙げられました。提言の課題認識を共有いただき、目指すべき姿を明確にした上で、それに向けて着実に努力していくことの必要性をお示しいただきました。