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2023.02.13

シンポジウム『日本からラグジュアリーブランドを送り出す』に出席

ファッションを体系的に学ぶ講座の企画運営を行うFashion Studiesが主催するシンポジウム『日本からラグジュアリーブランドを送り出す』に出席しました。私自身のファッション業界での体験や政治や行政におけるファッション産業振興の取組について基調講演を行った後、大阪大学のピエール=イヴ・ドンゼ教授のレクチャーに続き、羽田未来総合研究所の大西洋社長、アソシア研究所の野田謙志氏と共にフリーディスカッションを行いました。

 

 

 

 

「ものづくり大国である日本が、なぜエルメスやシャネルのような世界的なファッション・ブランドを生み出せないのか?」というのは、ファッション業界で働く日本人の間で古くからある問題意識です。日本の地場の繊維産業がつくる質の高い布地やリボンが、欧州の高級ブランドの材料として安価で買われているというのは周知の事実です。また、日本には今治のタオルや鯖江のメガネなど、単品ではジャパンブランドとして有名なものもありますが、欧米ブランドのようにライフスタイル全般にわたって様々なアイテムを取り揃えたものは殆どなく、商品ポートフォリオが弱いとも感じています。

 

「日本発のラグジュアリーブランドを創る」というテーマは、私自身、議員になってから何度か取り組んできましたが、これまでのところ成果を出せていないのが実情です。政治や行政が、ラグジュアリーブランドに取り組む難しさには、いくつか理由があります。

①繊維ものづくりは経産省、海外との関係は外務省、文化芸術は文科省、食文化は農水省、観光は国交省・・というように、縦割り行政を束ねる機能がないこと、

②日本には「何が高級品なのか」という基準がなく、全国津々浦々の「ふるさと名物」はピンキリであること。フランスにはコルベール委員会と呼ばれるラグジュアリー関連企業数十社の業界団体があるが、果たして日本で同じようなことができるのか。

③そもそも、お金持ちしか購入できない高額品をつくる産業の育成に、税金を投入する大義があるのか。

そうした議論をしているうちに、コロナ禍に見舞われ、ラグジュアリーどころではなくなってしまったというのがここ数年の状況でした。

 

最近、環境省でサステナブルファッションを担当するようになって、日本発ラグジュアリーを生み出す活路は『サステナブル』にあるのではないか?と感じています。但し、単にマーケティングで『サステナブル』を謳うだけではなく、高い技術と確かな職人の力に支えられていることが絶対条件です。

 

 

 

ご参加された方々もファッション業界の第一線で活躍する方々が多く、日本からラグジュアリーが生まれない原因について、様々なご意見が相次ぎました。「経営者が目指そうとしない」、「材料も人も足りない、ものを作ることができない」、「Z世代は安価なものを志向しているのではないか」、「文化・芸術の裏打ちが足りない」、「アパレル業界が、とりあえず儲かるものに走った結果ではないのか」、「日本はソフトが弱い、豊かな生活を演出する力が足りない」など、いずれも説得力のあるご意見でした。同じ思いを持つ人々が一同に結集した貴重な機会を、次なるステップにつなげていきたいと思います。