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2022.12.03
日本政府が国内外から第一線で活躍する方々をお招きして、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントの観点から様々なテーマを議論する会議、『国際女性会議 World Assembly for Women (WAW!)』が開催され、その中の分科会の一つ「女性とグリーン社会~脱炭素をジェンダーの視点から考える」に参加しました。サステナビリティの分野で著名な吉高まり氏をモデレーターに、会社経営者、NPO/NGO、国際機関、メディアなど6人のパネリストとご一緒させていただきました。
冒頭の部分で、私は日本政府の立場から、環境問題を巡るグローバルな議論の動向や、日本における国や民間の取組をご紹介させていただきました。
途上国などでは、気候変動の影響を最も受けるのは女性をはじめとする社会的弱者である、といわれています。飲料水のインフラが不十分な地域では、主に女性や少女が水を得るために長距離を歩くことを余儀なくされており、教育やスキルを身につける時間を失っていることが国際的にも問題になっています。気候変動への対応は女性の社会進出の障壁を取り除く意味でも重要です。
こうした視点から、昨年のCOP26では気候変動への対処でジェンダー平等や女性のエンパワーメントを尊重すべきこと、先日のCOP27でも気候変動対策への助成の参加機会を増やすことが決定文書に盛り込まれました。
日本では、政府が女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定しています。その一つである資生堂は、①地球環境の負荷軽減と②ジェンダー平等の2つを目標に掲げ、目標の達成状況によって条件が変動する『サステナビリティ・リンク・ボンド』という新しい種類の債権を発行、200億円の調達を目指しています。
パネルディスカッションでは、①気候変動対策での、産業分野における女性の参画・役割、②国や地方自治体における脱炭素化・気候変動における女性の参加・役割、③女性参画のために必要な教育・人材育成、について話し合われ、たいへん有意義な意見交換となりました。
これまで日本では、様々な行政分野の中で、環境は比較的、女性にとって参画がしやすい分野でした。ところがこの数年、GX(グリーントランスフォーメーション)といわれるように環境が国家的な重要課題になり、環境というテーマがマッチョ化(“男社会”化)しているように感じられます。日本が2050年までにカーボンニュートラルを達成するには150兆円の投資が必要であり、国はそのシードマネーとして20兆円を何らかの形で調達しなければなりませんが、予算の配分や負担の決定は、まさに政治権力の根幹だからです。そうした意思決定の中に、いかにして女性の視点を入れ込んでいくか。様々な組織や立場で働く女性の連携の重要性を強く感じています。