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2022.08.03
日本の医薬品産業の強化は喫緊の課題です。自民党社会保障制度調査会『創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム(PT)』では、昨年5月に日本の新薬開発力の強化のための総合的な提言をとりまとめたところです。今年は加藤勝信調査会長、橋本岳PT座長の下で私が事務局長を務めさせていただき、5月以降、下記のテーマで検討を重ねてきました。
①創薬力の強化育成に関するPT提言に係る進捗状況
②医薬品の国際展開とサプライチェーン強靭化の国際状況
③薬剤耐性(AMR)対策としての研究開発促進策(プル型インセンティブの早期導入)
④創薬等における患者や患者会からの視点と役割
かつては世界屈指の創薬国であった日本で、近年、新薬の開発力が低下しつつあるのは、国の財政上の要請から薬価の切り下げが進み、医薬品研究開発にかかる多大なリスクとコストに見合った収益が期待できなくなっていることが最大の原因です。全ての問題の根底に日本特有の薬価の仕組みがあり、抜本的な制度見直しが急務です。
また、医薬品政策を総合的に進めていくために『政府の司令塔機能』の強化の必要性がかねてより言われていますが、省庁の縦割り解消、さらには官民の協力体制の構築は道半ばであり、そもそも政府内のマンパワーが足りないという課題に直面しています。2年おきに人事異動がある政府部内において、明確な業績評価指標(KPI)を示した上で進捗の工程管理をしていくためには、政治による強力な不断のリーダーシップが不可欠です。
今日の会合では、これらの課題も含めて踏み込んだ議論が行われました。秋以降には政府において薬価制度や流通に関する有識者検討会が始まる予定であり、このPTにおいても引き続き平行して議論を行っていく予定です。