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2022.05.17

防衛費と財政規律 衆議院財務金融委員会で質問

衆議院財務金融委員会の一般質疑で、防衛費と財政規律との関係について財務大臣に質問しました。ロシアのウクライナ侵攻後に、財務省が国会答弁の中で防衛費についての考え方を示したのは初めてであり、たいへん参考になるため下記に一部を要約します。

 

 

問1.昨年12月の財政制度審議会の建議について、現時点でどのように評価しているか。
<山田からの質問>
日本の防衛費は諸外国に比べ「対税収比では遜色ない」とあるが、大幅な増税をしない限り防衛費を拡充しないのか。「防災も広義の安全保障」だとしているが、有事の国防に直結する議論をすべきではないか。
<岡本財務副大臣の答弁>
実効的な防衛力の整備には、その裏付けとなる健全かつ持続可能な財政運営が必要。各国では公共投資や科学技術などとのバランスを踏まえた上で防衛費の水準を定めている。防衛3文書改定にあたっては国民的な議論を丁寧に積み重ねることが重要。

 

問2.対GDP比2%目標の必要性について、財務当局はどのように考えているか。
<山田からの質問>
予算要求は一般論としてはボトムアップ(積み上げ)であるべき。しかし、防衛費は予算の大枠がなければ現実的な議論にならない。対外的にも国家としての防衛意志を明示すべき。
<岡本財務副大臣の答弁>
防衛費については、緊迫する安全保障環境を踏まえて、規模ありきではなく、まず何が現実的に必要かつ効果的か戦略的に検討した上で、その裏付けとなる予算を確保することが重要。

 

問3.防衛費は命を守る予算であり、社会保障費と同様シーリングの枠外とすべきではないか。
<山田からの質問>
防衛費はこれまでも他の予算に比べて優遇されており、財務当局にも「防衛予算は特に重要だ」という価値判断があるものと推察。防衛費も他の予算と同じ財政制約の下にあるとするならば、他の予算を削減しない限り防衛費を増やすことはできないのか?
<鈴木財務大臣の答弁>
真に実効的な防衛体制を着実に構築していくことは急務。その上で安全保障の観点から、経済、金融、財政の脆弱性を高めるようなマクロ経済運営はすべきでない。昨年は、概算要求段階から各省庁が自らの施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、重要課題について前年度を上回る要求、要望をできるようにすることで、予算の中身を大胆に重点化することを促した。防衛費については、真に必要な装備品等を見極めて、最大限効率化していただくことが重要。

 

問4.プライマリーバランス(PB)黒字化目標と次期中期防との整合性をどのように考えているか。
<山田からの質問>
次期中期防の期間(2023~2027年)はPB黒字化目標の年限である2025年と重なる。コロナ禍からの回復、原材料費の高騰、円安等を考えると、大幅な増税は非現実的。防衛費の拡充は財政健全化目標の枠内でしか行えないと考えるのか否か。
財政運営に規律は必要だが、財政規律を最優先にしてしまうと様々な弊害が生じる。国防は国の存続、日本人の命に関わる問題である。国家あっての財政であり、財政あっての国家ではない。財務当局の方々も、この国を守りたいという使命感は私達と同じだろうし、『国破れて財務省あり』などと揶揄されるのは本意ではないはず。
<鈴木財務大臣の答弁>
財政面については、実効的な防衛体制の強化を裏付ける予算を確保するのみならず、有事に十分に耐えられる財政基盤を備えることも不可欠。健全な財政運営は防衛力の強化と同様に重要であり、PBの黒字化目標も堅持すべき。

 

* * * * * * *
シーリングやPB目標に関しては非常に挑戦的な質問であり、冷たい答弁を予想していたのですが、結論は否定的なものの丁寧な答弁をしていただいたように思います。
今後、骨太の方針や来年度予算に向けた議論が本格化しますが、こと防衛費に関しては他の予算と性質が異なることを踏まえた上で、積極財政派と緊縮派の間で合意づくりの努力を重ねていく必要があります。