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2022.02.05
JR田町駅のすぐ近くに「港区立芝浜小学校」が開校します。4月の開校に先立って開催された内覧会に出席しました。
港区の人口の推移は非常に特徴的です。昭和30年代半ばには25万人を超えていたのが、平成8年には15万人を割るほどまで減少。その後、臨海部の再開発とともに再び増加に転じ、今では再び25万人を超えています。
港区立の小学校が新設されるのは平成8年以来25年ぶり。芝浜小学校の構想は、急増する芝浦地区の人口に対応するために平成28年から計画されていたとのこと。
新しい校舎には、以下のような特徴がありました。
①狭い敷地を最大限に活かしている
地下1階地上8階建てで、校庭は屋上にあります。7階の体育館もバスケットボール等の試合の際に太陽光が眩しくないように木製の簀の子状の扉が付けられています。6階のプールは底がせり上がって蓋をすることもでき、他のスポーツにも使用できる空間となっています。
②騒音対策と防災対策
小学校のすぐ横を、JR在来線や新幹線、東京モノレールが通るため、教室の窓は防音効果が非常に高いガラスが使われています。写真のように窓のすぐ前をモノレールが通っても全く音がしません。また校内は随所に耐震構造に工夫が施されています。写真は給食室の隣の休憩室です。
③だれでもトイレ、だれでも更衣室
校内に4ヵ所のだれでもトイレがあり、プールの更衣室も男性用・女性用とは別にだれでも更衣室が設置されています。既存の学校に整備するのはすぐには難しいですが、子ども達に多様性への配慮が「当たり前」だと教える先進的な取組だと感じました。
国ではいま、初等中等教育のあり方や、「こども家庭庁」設置に向けた議論が進んでいますが、都会と地方で全く環境が異なるなかで、国全体で一律の議論をすることの難しさを感じています。国レベルの議論の中で、仮に私が港区立の新しい小学校の話をしても、地方選出の国会議員から「財政的に豊かな自治体だからできるんだろう」、「格差拡大ではないか」と反発を受けることが、これまでの経験から容易に想像されます。
しかし、子育てや教育にも都心ならではの悩みや課題が数多くあります。「東京の都心には、全国で一番早く未来が訪れる」と言われますが、大人達でもついていけないような時代の変化や社会環境の変化のなかで、都心の子ども達は様々なリスクに晒されており、決して恵まれているだけではないのも事実です。そうした環境の中であっても、子ども達にまっすぐに育ってほしい、未来を生きる立派な大人になってほしい、という願いを結集させたのが、新しい小学校なのだと思います。
港区の関係者の方々のご尽力に感謝するとともに、芝浜小学校から育っていく生徒さん達の将来を心から応援したいと思います。