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2018.07.10
日本自動車販売協会連合会の「次世代経営研究会」に出席させていただきました。自動車ディーラーの全国組織の中で、全国各地の代表的な自動車販売会社で重役を務め、次世代のリーダーとなる若手の20代、30代の経営者の方々が集まる勉強会であり、私にとってはビジネスの現場の声を直接お伺いできる、とても有難い機会となりました。
最近、私が講演させていただく時には、30年後、50年後の日本の姿を予測して、それに合わせた制度や政策をつくっていくことが政治の役割だ、というお話をしているのですが、日本最大の産業である自動車産業の将来は、日本の将来の命運を左右する極めて重要な課題です。
外務政務官を務めていた頃、世界のどこに行っても日本車が走っていることにびっくりしたことを思い出します。日本がヨーロッパに初めて日本車を売りに行った拠点が地中海のマルタ島だったこと。ケニアでは平成初期の車検のステッカーを大切にセロテープで貼り付けた日本の中古車やバス・トラックを数多く見かけました。1970年代まで鎖国をしていた中東のオマーンでは、首都を走る車の9割が日本車です。ウクライナでは日本が供与したプリウスのパトカー1,000台が活躍していました。いま世界中で日本車が席巻しているのは、50~30年前の日本人の努力が実を結んだものです。現在、全世界で活躍している日本車が、もしも将来、カリフォルニアの自動運転車や中国の電気自動車に取って代わられたら・・・。そうならないように今から戦略を考えることは、自動車産業に従事する方々だけでなく、政治の使命でもあります。
海外戦略が変革を迫られる一方で、国内の自動車販売も、人口減少による市場の縮小や若者の自動車離れ、カーシェアの普及など、厳しい問題に直面しています。高すぎるランニングコスト、車庫証明など手続の簡便性、複雑で多岐にわたる自動車関連税制など、自動車の保有を巡る規制や税制を洗いざらい見直したうえで、若者や子育て世代が車を取得しやすいように、シニア世代の方々が安心して自分で車を運転できるように、様々なニーズに応じて細やかで多岐にわたる支援の施策を進めていく必要があります。
若手経営者の方々と意見交換をさせて頂いて感銘を受けたのは、お若いのに、会社と日本の未来に対して、とても強い責任感を持っておられることでした。特に、働き方改革や人手不足の話題については、各社の取組についてかなり具体的な実情や提案もいただきました。国会での議論は与野党対立ばかりが目立ちましたが、本来なら、こうした現場の視点をもっと議論すべきだったのではないのか、改めて「ビジネスの現場の声を国政へ」届けることの難しさを痛感しました。