山田美樹オフィシャルサイト

山田美樹オフィシャルサイト

活動ブログ

Blog

ホーム > 活動ブログ > 薬粧連合政治連盟の政治セミナーで講演

2025.06.21

薬粧連合政治連盟の政治セミナーで講演

医薬・化粧品産業の労働組合、医薬化粧品産業労働組合連合会(薬粧連合)の政治連盟の政治セミナーで、『医薬品産業の今後の展望と活動報告』と題して講演の機会をいただき、この半年間に私自身が取り組んできた医療・医薬品関連のテーマについてお話ししました。

 

 

2月の『HGPI医療政策サミット2025』で議論となった、医療政策において、①EBPM(証拠に基づく政策形成)と②患者・当事者の声とのバランスをどのように取るか、というテーマについて、与野党の政策形成過程の長所短所、エビデンスの限界、等々。

(参考)https://miki-yamada.com/blog/12166.html

 

また、捲土重来を期す厚生労働系の前衆議院議員7人による『創薬イノベーション再興の会』では、政府の「骨太の方針」に先立って、①費用対効果評価制度の抜本的な見直し、②国民との対話の強化、③医療安全保障、④総薬剤費をGDP成長率(物価上昇)と連動させる、との提言を行いましたが、併せて、ジェネリック医薬品産業の最近の動向や、「骨太の方針」の社会保障関係費についても説明しました。

(参考)https://miki-yamada.com/blog/12337.html

 

 

お話を聴いてくださった方々は、製薬各社で働く若い世代の皆様。積極的に質問を投げかけてくださいました。以下は、いただいたご質問と私の回答です。

 

■ 物価高が大きく取り沙汰される一方で、医薬品の重要性を伝えるのは難しい。どうしたら国民に広く訴えることができるか?

 

物事を伝える際の根拠には定量的なものと定性的なものがある。先ほどエビデンスの重要性をお話ししたのとは相反するかもしれないが、定量的なデータよりも定性的なエピソードの方が強く相手の心に訴える。例えば自民党の厚生労働部会や税制調査会などで1~2分で完結にパンチのある発言をしようと思ったら、客観データよりも関係者の声や具体的なエピソードの方が共感を得られることをたびたび実感した。政策形成においてエピソードに基づいて意思決定が行われることは良いことだとは思わないが、企業の取組に共感を得るためには、医薬品で実際に救われた患者の方の声が一番説得力があるのではないか。

 

■ 政治家として仕事をしていく上で、限られた社会保障費の中で、あちらを立てればこちらが立たない、という場面はよくあると思うが、どのように解決していくのか?

 

例えば子育て支援について、実質的には高齢者医療費の削減に繋がるのではないかという懸念の声もいただく。社会保障分野は専門性の高い分野であり、政治家の中で実質的に意思決定に参加している議員たちはそれぞれに厚生労働系の支援団体を抱えているため、現行制度の枠組みの中で何かを削減・廃止するのはほぼ不可能に近い。

先に説明した『創薬イノベーション再興の会』提言は、アカデミアの方の意見も踏まえたもので、私自身、最初にドラフトを見た時には理想論ではないかとも感じた。しかし、例えば費用対効果評価制度について、医薬品・医療機器だけでなく介護・リハビリ、福祉、さらには予防や健康維持なども含めて全ての分野を議論の俎上に載せよう、という提案は、確かに大風呂敷で遠い未来の理想論かもしれないが、「何かを取って何かを捨てる」のではない建設的な議論のスタートラインになるのではないかと考えている。

 

 

社会保障と財源の問題は、我が国にとって、食料・エネルギー自給率や防衛・安全保障の問題とは異なり、外的要因や不確定事項がない政策テーマです。今日のような議論が、ひとつひとつ将来に繋がっていけばと願っています。