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2023.09.26
今回のオマーン訪問では、公衆衛生シンポジウムの前後に、オマーン政府要人との会談を行いました。
①ムスラヒ行財政担当外務次官、ザッジャーリー外務省アジア・太平洋局長
ムスラヒ次官は、在日オマーン大使として10年日本に滞在され、その間に東日本大震災も経験されたとのこと。日本企業によるオマーン国内の事業では、これまでの石油・天然ガス、発電、淡水化事業に加えて、最近は水素、アンモニア、合成メタンなど脱炭素に向けた動きが進みつつあります。また、鶏卵やインゲンなど日本の食のバリューチェーンについても高い期待が寄せられました。
②アブドッラー・アル・アムリー環境庁長官
オマーンでは環境庁が設立されたのは比較的最近だとのこと。日本の環境行政で特に脱炭素と廃棄物処理に高い関心を寄せていました。なかでも廃棄物処理に関しては、ゴミの分別の仕組みについて、かなり詳しく細かく質問をいただき、予想していたよりも実務的な会合になりました。今後、日本とオマーンの環境当局どうしの協力関係強化の第一歩になればと思います。
③ヒナーイ国家評議会副議長、サイードハムドヒラールアルサーディ諮問議会副議長
今回、私は日本オマーン友好議員連盟の事務局長として訪問していることから、オマーン議会の両院の副議長と階段の機会をいただきました。オマーンには日本の国会と違い政党がなく国別の友好議連も存在しないことから、議員同士はもちろん大使館や現地の日本企業ともコミュニケーションを深めるために連絡体制を密にしていくことをお話ししました。
オマーン議会においても、特に選挙で選ばれる諮問議会では98名の議員のうち女性は2名のみとのこと。一方で、本会議場には各議員の机にマイクとテレビ画面とキーボードが配備され、事前のシナリオなく自由闊達な議論が行われるとのこと。日本の国会では事前に質問者が割り振られ、特に本会議では事前にセットした読み原稿の通りに発言しなければいけない慣行になっています。改めて、日本の国会の後進国ぶりを痛感しました。
このほかにも、オマーンに進出している日本企業の方々から、現地での最新状況についてお話を伺いました。
今回の訪問を通じて感じたのは、歴史的に日本とオマーンが友好的な関係を築きあげてきたこと、各国の利害が複雑に交錯する中東地域で、オマーンの「敵を作らない」全方位外交が非常に示唆に富んでいるということです。国内の政策と違い、来月来年にすぐに結果が出るわけではありませんが、こうした二国間外交の積み重ねが5年後10年後に必ず実を結ぶと確信しています。
現地の大手英字新聞に、国家評議会副議長との会談の様子が報道されました。
https://timesofoman.com/article/136555-al-hinai-lauds-relations-between-oman-and-japan