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2023.06.04
全国植樹祭に出席するため、岩手県陸前高田市を訪れました。毎年春に開催されるこの式典は、天皇皇后両陛下のご出席を賜り御自らお手植え、お手まきいただくもので、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会、国民文化祭と並んで、『四大行幸啓』の一つです。
会場となった高田松原津波復興祈念公園は「奇跡の一本松」で有名な場所です。震災後に辺り一帯が整備され、東日本大震災の記録を伝える伝承館「いわてtsunamiメモリアル」が開設されています。津波の強大な力でちぎれてねじ曲がった鉄筋の橋梁や、無惨に破壊された消防団の車両などが生々しく展示されているのと共に、災害直後の救出から復旧、避難所生活、町の復興に尽力された方々の記録や、震災で得た教訓を今後の防災に活かしていく取組など、悲しみを乗り越え未来に向けて歩んでいく内容となっていました。
植樹祭のセレモニーは、岩手県が誇る童話作家、宮沢賢治の『虔十公園林』(けんじゅうこうえんりん)の物語に沿って進行し、高校生による合唱や、津波の流木や倒壊家屋の木材から作った弦楽器の演奏、豊かな森林をイメージした子ども達によるダンス、高校生による伝統芸能「鹿踊り」、林業・木材産業に携わる方々からのメッセージなどが盛り込まれ、この日のために大変多くの方々が誠心誠意準備を進めてこられたことを感じました。私自身も、地元の子ども達が大切に育てた苗木を植樹するセレモニーに参加、厳粛な気持ちで臨みました。
岩手では昔から、森林の緑を「伐って、使って、植えて、育てる」ことで、森林資源の循環利用を推進し、持続可能な森林管理を進めてきたとのこと。日本ならではの人間と自然の共生のあり方を、参加者みんな体感し共有することができた素晴らしい大会でした。