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2021.06.09

『ポスト・コロナの政治課題について』 東京都自衛隊家族会での講演

東京都自衛隊家族会の時局講演会で、『我が国の政策課題』と題してお話しさせていただきました。冒頭、コロナ禍のもとで既に2万人を超える自衛官の方々が、感染拡大防止、水際対策強化、市中感染対応のための災害派遣と、ワクチン大規模接種でご活躍いただいていることに、心から御礼を申し上げました。
今日は、中国のワクチン外交に対する対抗策とともに、最近多くの方々からご質問をいただくコロナ後の政治課題について、国政での議論や各国の動向を交えてお話しました。

 

 

 

■ 国産ワクチンはできるのか?
ファイザー社がワクチン開発に成功したドキュメンタリービデオ『Mission Possible』を視聴しました。果敢な挑戦に感服しつつ、なぜ日本でできなかったのか、複雑な思いでした。特筆すべきは、①研究者が政治の圧力を受けないよう公的な資金支援を受けなかった、②研究開発と治験3段階と製造を同時並行で行い10数年かかるプロセスを数ヵ月に短縮した点です。FDA(米国の厚労省)の薬事承認が下りた瞬間に出荷のトラックが走り出す映像は圧巻でした。
日本では今月1日に『国産ワクチン開発に向けた戦略』を閣議決定しました。日本でワクチン開発が進まない理由は数々ありますが、最大の理由は製薬メーカーにとって採算が合わない分野だったという点です。平時にも緊急時にも活用できる製造設備の整備や、国費での買い上げ、途上国への供給など、国の支援が不可欠です。

 

■ コロナ後の増税はあるのか?
コロナ対策で各国ともに大規模な財政出動を行っていますが、米国や英国、EUなどでは早くも増税に向けた動きが始まっています。米国のバイデン大統領は、①インフラ投資等による雇用創出のために、連邦法人税の21%から28%への引き上げや多国籍企業への課税を強化し、②格差是正や子育て・介護支援のために、富裕層に対する所得増税やキャピタルゲイン増税を唱えています。同様に、英国では半世紀ぶりの法人税増税、EUでは7,500億ユーロの復興基金への新規財源として炭素税やデジタル課税、金融取引税等が検討されています。
日本において増税は到底受け入れられるものではありません。私はMMT理論には与しませんが、コロナ後の景気対策として期間限定の消費税減税は検討に値すると考えます。今後、財務当局が増税の議論を持ち出してきた場合に注意しなければならないのは、国税において「東京狙い撃ち」の増税がなされないように、という点です。都心部の高すぎる固定資産税、相続税のさらなる引上げや、リスクを取って挑戦し努力した人の勤労所得にペナルティを課すような極端な累進強化には反対の声を上げていきます。

 

■ カーボン・ニュートラルは実現できるのか?
昨年秋に政府が「2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする」との宣言を発表して以降、既に100社を超える企業が『カーボン・ニュートラル宣言』を行っています。金融機関の投資や融資の判断基準として、企業の温暖化への取組が重視されていることが背景にあります。
既に自動車業界は2035年に新車販売を100%電気自動車にするという目標と共に、充電スタンドや水素ステーション等のインフラ導入拡大、蓄電池の開発などに取り組んでいます。石油元売では技術開発によって目標を2040年に前倒した企業もありますし、航空業界も今後の経営計画の中で省燃費機材への買替を検討しています。
一方で、ガソリン車の減少に伴うガソリンスタンドの経営多角化や、電炉や鋳造など電力を大量消費する製造業の国内立地確保など、未解決の課題も残されています。

 

■ デジタル化の遅れは取り戻せるのか?
「マイナンバーカードの普及が遅れたために10万円の給付が遅れた」、「親のテレワークと子どものオンライン授業が重なってパソコンの取り合いになった」、「国と自治体のシステムが繋がっていない」等、デジタル化の課題は多岐にわたりますが、そもそもデジタル化社会を支える大元である半導体の供給が大きな危機に晒されています。将来の自動運転やスマートシティ、医療・介護、農業、教育、防災などのICT化もすべて、十分な半導体の供給が大前提です。
日本の半導体シェアは過去30年で50%から10%に転落しました。一方で、半導体の材料や製造装置では世界でトップシェアを誇る日本製品も数多くあります。日本の半導体産業の復活を、国を挙げて支援していきます。

 

中国のワクチン外交に対する対抗策など、日本を取り巻く国際情勢と最近の中国の動きについては、4月25日の自衛隊家族会新宿区地区会での講演をご覧ください。

https://miki-yamada.com/blog/9012.html