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2019.02.18

麻布法人会税制懇話会 『今の税制に未来はありますか?』

麻布法人会主催の税制勉強会に出席しました。昨年に続き2回目の参加となる今回は、『今の税制に未来はありますか?』というテーマで、淺沼洋一税制委員長の司会の下、麻布法人会の岩上義明会長、芝法人会の竹ノ上蔵造会長、海江田万里議員と私の4人でのパネルディスカッションとなりました。

前半の議論では、財政健全化への課題、少子高齢化と増大する社会保障需要、消費税引き上げに伴う課題などについて現状認識を共有した後、いよいよ本題である未来の税制について、①人工知能の進展で未来の社会はどう変化するか?②未来の税と社会保障はどうあるべきか?議論がなされました。

麻布法人会からご提案があった未来の社会保障はベーシックインカム(以下、BI)、今ある年金や生活保護などの給付を全て一本化して、国民全員一律に一定額を給付する、という考え方です。現行の予算・税制の「無償化」、「控除」といったものは利権の温床になってしまう、全員一律に給付することが最も公平なのではないか、という問題意識は、理に適ったものだと思います。
BIについて前向きに議論することには私も賛成です。ただ、気をつけなければならないのは、論者によって制度の中身がバラバラだということです。そもそもなぜBIが必要なのか、格差是正や人工知能による失業対策という社会主義的立場もあれば、起業などチャレンジ促進という新自由主義的立場もあります。BIの対象も、フィンランド等で行われた社会実験は低所得者のみ対象にした部分的BIに過ぎず、富裕層も含めて全員に給付する完全BIに国民の理解が得られるかは未知数です。今の制度のどこがダメなのか?何を変えたいのか?整理して議論していけば、おのずと方向性が見えてくるように思います。

その一方で、社会構造の変化により、現在の税制は抜本的な改革を迫られます。未来の社会では、①モビリティ(移動)、②通貨と信用、③働き方が大きく変わると予想されます。自動運転の進展によって、世界最大の400兆円産業である自動車産業の収益構造の中心は、製造・販売からサービス提供へと移ります。紙幣やコインがなくなって全てバーチャルな通貨になった時、信用(クレジット)はどのようなものになるのか、中国ではカード決済と結びついた信用格付けシステムが社会問題となっています。
さらに、AIの普及が進めば人間もモバイルで働く可能性が広がります。グローバルでは「デジタルノマド」と呼ばれるIT人材の遊牧民化が既に始まっており、必然的に税金や居住費が安い国に人材が集まります。国からすると人と所得が国に紐づけられなくなり、所得税を徴収できなくなります。エストニアのように外国人に仮想居住権を与えるような人材獲得競争も始まっています。

明日からいよいよ、衆議院の財務金融委員会で来年度税制改正の法案審議が始まります。国会や党での議論は、来年度、向こう1年の議論にすぎません。もっと先の未来を見据えて大所高所の議論をしていく必要性を痛感しています。税制の議論にあたってはビジネスの現場感覚が不可欠です。法人会の方々と、しがらみにとらわれない自由な議論ができることは大変有難く思っています。麻布法人会や芝法人会では、港区内の小中学校で税の授業を行っていると伺いましたが、次回はぜひ子ども達の率直な意見も聞いてみたい、と思っています。