山田美樹オフィシャルサイト

山田美樹オフィシャルサイト

活動ブログ

Blog

ホーム > 活動ブログ > インド出張② バングラデシュとの国境へ

2025.02.05

インド出張② バングラデシュとの国境へ

2日目は、ニューデリーから空路でアッサム州のグワハティに向かい、そこから車で約100キロ離れたメガラヤ州の州都シロンの街へ。ミャンマー、中国、バングラデシュ等と国境を接するインド北東部は、インド国内の他の地域とは幅がわずか20キロの回廊でつながっているのみで、交通や物流が非常に不便です。かつて植民地時代には紅茶で有名な都市アッサムを中心に栄えていましたが、その後長年にわたり「陸の孤島」になっていました。

一方で、この地域はインドが進める東アジアとの連携と、日本の『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』の外交戦略が重なり合う場所でもあります。中国の一帯一路に対抗していく上で、インド、バングラディッシュをはじめとするベンガル湾周辺諸国の連携を日本が支援していくことは、日本の安全保障上も極めて重要です。

インド北東部の山岳丘陵地帯には多様な部族が住んでおり、インド全国で400近くある言語のうち200の言語がこの地域で話されているそうです。私が訪問したセント・アンソニーズ・カレッジでは日本の笹川平和財団の支援を受けて、多様な民族の口承伝承を映像や記録として保存する作業に取り組んでいます。

 

 

 

夜には、今回のセミナーの主催者の一人であるアジアン・コンフルエンスのダッタ会長やアッサム州議員、州政府高官と意見交換の機会をいただき、インド経済や脱炭素、アジア太平洋をめぐる安全保障など幅広い話題で盛り上がりました。

 

 

 

3日目は、シロンの街からさらに南下してチュラプンジを通過し、バングラディッシュとの国境へ。森林や峡谷の間の道は日光のいろは坂のような急カーブが延々と続き、舗装されていない道も多く、60キロの距離を行くのに3時間以上かかりました。陸路での物流がいかに過酷かを痛感する行程でした。

 

 

国境のワフルー川周辺は、鉄条網が張られていましたが警備の人は見当たらず、国境の向こうには川で寛ぐ人々も見えました。通関では観光バスはそのまま通れるそうですが、物資の輸送は積替が必要です。例外的に積替が不要なのは建設資材の石灰岩で、石灰岩を積んだトラックが列になって停まっていました。通関には数日かかるらしく、手続の簡素化が急務です。多くのトラックが積載制限を守らないために橋が落ちてしまい、私達一行も車で川を渡る場面もありました。

 

 

 

 

 

道路沿いの集落は、かろうじて電気と水道は通っているようでした。私にとっては、今回の機会がなければ恐らく一生訪れることのなかった未開の場所です。川で洗濯をしてきた年配の女性から英語で話しかけられて驚きました。こんな山奥で暮らしている人も英語を話す、日本にはない強みです。英語を公用語とする国の底知れぬパワーを感じました。