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2023.06.05

三陸復興国立公園、宮古市・久慈市を訪問

陸前高田市で行われた全国植樹祭の後、さらに北へ足を伸ばし、三陸復興国立公園や岩手県宮古市、久慈市の地域脱炭素の取組を視察しました。

 

 

■宮古市における脱炭素先行地域の取組

 

宮古市の田老地区は、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域です。津波の直撃を受けた田老観光ホテルは、6階建てのうち下2階分は骨組みだけが残り、震災遺構となっています。6階の客室を改修して作った会議室で、当時のホテルの社長が自ら撮影した津波の瞬間の映像を拝見しました。見るのがつらい映像ですが、語り部の方のお話とともに、後世に伝えるべき内容です。震災後、新たな防潮堤が整備され区画整理が進み、高台移転や避難道の整備も進んでいます。

 

 

震災後の新たな街づくりの中で、宮古市が特に力を入れているのがエネルギーの地産地消です。田老漁港に面した地域は津波で家々が流され、震災後は災害危険区域として住宅の建設が制限されるようになりました。この地域に大規模太陽光発電所を設置して日中に蓄電し夜間に系統接続を行うことで中心市街地に電力を供給する計画が進行中であり、環境省の脱炭素先行地域に選定されています。

 

 

 

■三陸復興国立公園 みちのく潮風トレイル

 

三陸復興国立公園は、かつての陸中海岸国立公園が、震災後の2013年に新しい名称になったもので、青森、岩手、宮城の3県9市6町3村にまたがる南北250kmにわたる広大な国立公園です。

環境省では震災後に「グリーン復興プロジェクト」の一環として、青森県八戸市から福島県相馬市までの4県29市町村にまたがる太平洋沿岸を一本の道でつなぐ『みちのく潮風トレイル』の設定を始め、地元の方々のご意見を伺いながら既存の歩道や車道を活用してルートを定め、2019年に全長1,000kmを超える全線が開通しました。

私も今回、①波で磨かれた黒い玉砂利が敷き詰められた大船渡市の碁石海岸や、②日本交通公社の全国観光資源評価「自然資源・海岸の部」で最高ランクの特A級に格付けされた景勝地である田野畑村の北山崎園地、③普代村の黒崎漁港からネダリ浜に至る波打ち際を歩く自然歩道などを訪れました。どこも海の絶景はもちろん、森林の動植物や珍しい地層を目の当たりにできる素晴らしい場所です。最近は外国人のハイカーも増えているとのこと。人間と対峙するのではなく調和する、日本ならではの自然を満喫していただきたいと思います。

 

①碁石海岸の乱曝谷、田老町の三王岩

 

 

②田野畑村 北山崎園地

 

 

③普代村 ネダリ浜

 

 

 

■久慈市における脱炭素の取組

 

最初に訪れたのは木質バイオマス熱エネルギー供給事業。これまで廃棄されることが多かった地元木材の樹皮(バーク)を乾燥させて燃焼させ、得られた温水と蒸気をしいたけの栽培ハウスに供給し、近隣地域にエネルギー供給を行っています。バークの利用が実現するまでには試行錯誤の連続だったとのこと。東京ドームほどの広さの敷地にある60棟のハウスで1日3,000kgも栽培される大量のしいたけは圧巻です。

 

 

 

次に訪問したのは、積水バイオリファイナリー久慈実証プラント。家庭等から出る可燃性ごみなどの

一般廃棄物から排出されるCO2を低炭素水素によって合成ガスに変換し、さらに微生物触媒によって、石油、化学製品の原料となるエタノールに変換する実証実験を行っています。将来的には、航空燃料(SAF)の製造も可能になるとのこと。こうした二酸化炭素の分離回収と有効利用の技術(CCU)はカーボンニュートラルに必要不可欠であり、一日も早い商用化が期待されます。

 

 

最後に訪問したのは、久慈市山形町内の脱炭素先行地域。太陽光発電設備や陸上風力発電による電気の地域内供給、オンサイト熱電併給設備の導入によって、町全域でエネルギーの地産地消を実現する計画が進行中です。熱電併給設備の導入を予定している介護福祉施設の周辺の敷地を視察しました。山間部の町でのエネルギー地産地消は、災害時にも大きく役に立ちそうです。

 

 

これまで数回にわたる地方視察で感じたのは、人口減少に直面する地方の自治体は、生き残りをかけて地域脱炭素に取り組み、地域経済の再生と雇用創出に繋げようと必死で努力をしているということです。創意工夫を凝らし、信念を持って長い年月をかけて取り組んでいる方々のご努力を、国も継続的に支援する必要があると強く感じています。